“あなたは空間認識能力はそこまで高くはないが、言語能力は高い”
一言一句そういわれたわけではないが、以前受けたカウンセリングでそのように診断された。
ああ、自分は言葉が好きであるんだなと、他者の言葉によって再認識した瞬間であった。それ以降、私の中で劣等感を抱いたり、些末なことで悩むことも少なくなった。
『自分には言葉がある、探求心がある』そのような確固たる思いを胸中に抱くことで、他者を見下したり自らを卑下することもなくなった。
自分は自分、他人は他人である。
そして、他者の備えている能力や容姿に殊更に反応する必要もなくなった。他人の持っている能力は如何に足掻こうが手中に収まることはない。
物は奪えても、境遇や経験、感性などは手に入らない。自分自身の感覚はあなただけにしかわかり様がない。
故に、私がここまで知的探求に拘るのも理解されえないかもしれない。だが、それは致し方のないことである。
私が知ろうと欲する気持ちは何ものにも代えがたいものであるから。私の知的好奇心の先に何があるのかは判然としない。ただ、私はそれを止められそうにない。